ギター小僧の90%が、女の子にモテたい(注目されたいも含む)からロックを始める。こう言われていたのが70年代、80年代の若者像であった。今の時代はバイク、スポーティーな車、カッコいい洋服にも、男の子は余り興味を示さない。ネットが男女の出会いの場となっていることもあり、自己主張をする小道具が絶対に欲しいとは思わない。
 同時にクラブ系の音楽がまだ根強い。アウトサイダーという言葉を使うのなら、彼らのライフ・スタイルが時代の流れで変わってしまった。クラブで目立ちたいならDJをやる。それがカッコいいと言われるし、自ら言う。
 そもそも昔からテレビにロックバンドが出演することは、テレビ局側も出演する側もうっとおしいと思ってきた。たった一曲のためにバンドは一日中約束されるので嫌になる。MTVでロックバンドの映像を流す方が手っ取り早かった。
 が、だ。ロックバンドでも実力派と言われるグループは、飛んだり跳ねたりするパフォーマンスを嫌う。MTVが全盛の頃、それが苦痛であったミュージシャンの映像は、本人の歌唱場面がまるでなかったりした。
 結局は、ロックバンドの活動の場はライブハウスを拠点にするしかない、となる。が、ライブハウス側はスケジュールを埋めるために、持ち曲が三、四曲しなかい連中を四組集めてワン・ステージをやることになる。一組がチケットを20枚売れば、なんとか採算がとれる。この方法は、下手に楽してステージに上がらせてしまうことが、結果、バンドのレベルを下げ、彼らのモチベーションも下げてしまう。ステージに上がったから、「まあ、いいか」で、活動が尻つぼみになっていく。最低でも一時間のステージが演れるバンドが少なくなっていった。
 北九州から傑出したロックバンドと言えば、1979年デビューのザ・ルースターズ。メンタイロックと言われたバンドの中でも、最も輝いていたと思う。ルースターズに合掌‼
 テレビに出演するアイドル系のグループは楽器を弾くこともない。そう上手でもない振り付けをして、それで人気が出る。テレビの力は怖い。若い女の子を相手に、中年になろうかという男が踊って合唱する。その心の内は想像がつく。それが嫌いだからギターを弾く。DJをやる。テレビと相反する音楽がライブハウスにはなければならない。
 録音技術が優れてきた分、ロックがダメになってきたことを最近、特に感じる。ビートルズがコンサートで演奏することが出来ないアルバムを作った時は、その後のロック状況にどうこれが影響するかなどは考えもしなかった。どんなに音質の再現が素晴らしいオーディオで聴いても、生々しい音楽はやはり生々しく力強く、削り削り丸味を帯びたデジタル技術で作り上げられた音楽は、それ以上でもそれ以下でもない。
 例えばクラシックやジャズが素晴らしいと言われるゆえんは、一発録りが多いからだ。
 ところがロックやポップスに関して言うなら、一発録りのライブ型は別にして、編集作業と多重トラックを使えばなんとでもなるという便利さが欠点となってミュージシャンのレベルを下げてしまったのでなかろうか?
 イーグルスというロックバンドが素晴らしかったのは、生演奏とレコードが全く変わらなかったことが実力の程を表現していると言われた。レコードは良くても生演奏がヒドい‼というロック・グループは昔から存在していたが、70年代、80年代に入ってからはレコードは良くても生演奏がダメなグループが実は増えていったのだ。
 ギブソンのギターが売れなくなった、という背景にはラップにロックが押され気味であることも勿論ある。ロックでリードギターの聞かせどころのあるヘビィメタやハードロックが今は余り好まれていないという分析はどうだろうか?それはクラプトンやジェフ・ベック、ジミー・ペイジのギターソロがイコール、ロックと言うことになりはしないか。
 泣きのギターに早弾きと、これがロックの真骨頂とする考えは間違っている。
 前記したいわゆる一発録りの良さ、粗削りではあるが若者らしさ、熱気、緊迫感があることの方が、ロックには大切なのではないかと、僕は考える。60年代の後半に本物のロックは終わり、商業ロックへと変化した。何が本物のロックかという議論はあえてさけるが、一発録りに近い懐かしのCDをここに集めてみた。イーグルスの「ならず者」は、僕的にはイーグルスのベスト盤。ザ・バーズの「ロデオの恋人」でのカントリー・ロックがやがてイーグルスの「テイク・イット・イージー」のヒットを生み、イーグルスが20世紀で一番のセールスを記録した「ホテル・カリフォルニア」を完成させる。
 クラレンス・ホワイトこそ、世界一のギターリストと言われるが、ザ・バーズ在籍時は、ライブバンドとしては最高であるという評価を受けたのも、クラレンスのギターがケタ外れであったことも起因する。バーズの系譜にあるジーン・クラ―ク、フライング・ブリトー・ブラザース、スワンプ・ウォーター、ザ・バンドも取り上げた。アメリカのシンガーソング・ライターのスティーブ・ヤングの「ドントゥ・シング・トゥワイス」は、ボブ・ディラン以上に素晴らしい出来。イギリス勢ではアニマルズ、ストーンズの初期のアルバムを。黒人では、アカペラのジョー&エディと、オーティス・レディングを選んだ。

text by 高野敬市
 タウン誌「おいらの街」 元編集長。
 現在Cafe&占い処たぶれっとを運営。
 ●ホームページ http://www.tablet.cx
 今回のCDを今聴いてみると、明らかに商業ロックとは違ったROCKが聴ける。この生々しい録音のCDなら、あきることがない。ROCKとは荒々しくても良い。シャフトしているのが良い。ライブ感が伝わるアルバムこそ最高。ギターが聞かせどころなんて、そう必要ではない。なくともROCKと言える。録音技術が優れたところで、何になる?
 熱いおたけびが伝わることがROCKの素晴らしさだ。古きを知って、本物を知る、なのだ。
アーティスト/ザ・バンド
タイトル/ミュージック・フロム・
          ビッグ・ピンク
アーティスト/Otis Redding
タイトル/THE KING OF SOUL
アーティスト/Steve Young
タイトル/Renegade Picker/
       No Place To Fall
アーティスト/Joe & Eddie
タイトル/The Best Of Joe & Eddie
           by Joe & Eddie
アーティスト/Swampwater
タイトル/SWAMPWATER
アーティスト/Animals
タイトル/Animals
  画像から作品解説へ
アーティスト/
The Rolling Stones
タイトル/Big Hits:
High Tide and
Green Grass 他
アーティスト/ザ・バーズ
タイトル/オリジナル・
シングルズ
A's & B's 1965-1971
アーティスト/Gene Clark
タイトル/White Light
アーティスト/Gene Clark
タイトル/ROADMASTER
アーティスト/ザ・バーズ
タイトル/SWEET HEART
OF THE RODEO
アーティスト/
フライング・
バリット・ブラザーズ
タイトル/Hot Burritos!
The Flying Burrito
Bros.Anthology
1969-1972
アーティスト/
Clarence White
タイトル/WHITE LIGHTNIN'
アーティスト/Eagles
タイトル/Desperado
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