“心の帰還” 白銀の街並みに添う郷愁感溢れる「侍寿し」。

 北九州に東京や大阪からやって来た人達が言う。「せっかく魚の美味しい街に来たのだから、寿司か魚を食べて帰りたい」と。で、どこが美味しい? 店を教えて‼と尋ねられたら、あなたはお奨めできる店を紹介できますか? ただし街中の一人前が一万円近くするような寿司屋を今の時代に教えるのは不親切極まりない。その辺の居酒屋を紹介したところで、感動してもらえない。寿司に感動していますか? 最近は、僕はまるっきり感動していない。本音を言うと。
 先日、若松に行った。仕事の空き時間に中川町で食事でも。と、目に留まったのが小さな寿司屋。久し振りに”立ち”の寿司屋に入ってみたくなった。で、中に入ると、確かに小じんまりとした寿司屋。カウンター席が6席だったか。地元の常連らしいお客が寿司を食べ終わって、世間話に花を咲かせている。店に貼られたメニューを見ると特上が二千円を切っている。「大将、特上は何貫あります?」と尋ねると、「八貫だね」。特上で、魚の美味しい若松だから間違いない、と久し振りに立ちの寿司屋のカウンターに座った。
 やっぱりいきなりの昔ながらのガリと濃い茶が出てきた。オッ、ガリがうまい‼茶の香りと味も既存のものとはまるで違う。そして新鮮なウニ、貝、エビ、魚、魚、魚…と出てくる。えっ‼手握りの寿司はこんなに美味しかったか、と。ネタの大きさとシャリの親密な関係で起こる感動。食べごたえのある満足感が最後まで続いた。この価格でこの味なら回転寿司に行く必要がない。と確信した。こんな見落としが社会に多いのは解かってはいるが、何と馬鹿げたことを自分も含め、やっているんだ、と反省と、これからの寿司の世界が開けてくる期待を持って、店を出る。
その次の日から小倉北区に庶民価格で美味しい寿司屋がどの位、残っているのか調べ始めた。…いろいろ、昔の北区にある寿司屋の店名で調べる。と、あった。小倉北区白銀一丁目12-14の「侍寿し」。その昔、何度か行った。出前も頼んだことがあるし、グルメ本にも掲載させてもらった。と想いを起こし、次の日の日曜日の晩メシに行くことに決めた。
 久し振りの白銀の街並みは懐かしいが、こんなに夜は通りも少なく、店も閉まっているとは思わなかった。灯が見えた。久し振りの客!?という雰囲気が店にはあったが、暖かく迎えてくれたのは、二代目の大将だ。上にぎりを頼んだ。茶碗蒸しも。
 「最近は出前ばかりですよ」と二代目は話す。先代の話や、小倉にあった寿司屋の話で、尽きない。こうやって夜、来る客は珍しい、と言う話も聞かされた。茶碗蒸しの味に懐かしさと美味しさが蘇えって、「ウマいね」と。今はほとんどが出来合いの蒸しをレンジで「チン」して出すから、味が死んでいる。これを天と地ほどの違いと言う。
 この日は「侍寿しの」二代目大将に、僕が言いたい事をすべて話した。若松の小さな寿司から始まった。心の帰還、立ちの寿司屋巡り、という楽しみを味わいたい。これからは。




「侍寿し」
◆ 小倉北区白銀町一丁目12-14 ◆ TEL.093-941-1123 ◆ 定休日/毎週木曜日 ◆ 駐車場一台は有り
◆ 北九州モノレール香春口三萩野駅南口 徒歩7分
◆ 寿司ネタは日々の仕入れにより変わることがあります。ご了承願います。
◆ ご来店される方は、前もってご予約願います。
◆ ビール以外のお酒は置いておりません。
◆ 出前も承っております。老人会や老人ホームからのご注文も多数。
ご家族連れでも喜ばれるております。夜の方がごゆっくりと、くつろげます。
本物の寿司の味を想い出した、というお客さんがとても多い店です。


◆ 寿司弁当は、ニギリ、助六の二種類があり、
  共に一箱1,000円(税別)。
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